WEBマガジン 漁師に会いたい Vol.3 光春丸船長 山本宏幸さん

Vol. 32016.06.01 UP

光春丸 船長山本 宏幸さん

1975年、京都生まれ。
前船長の娘さんと結婚し、『大英断』のもと乗船を決意。
厳しい日本海の荒海と闘うも、家に帰ると三人の娘さんと二匹の犬の良きお父さん。
趣味は『風蘭』 

『ただ今、港はカニ一色ですよ!!こんなでっかいカニは僕も食べたことがないなあ~。皆さんのお越しを待ってますよ~!』

Vol.3 光春丸船長 山本宏幸さん

京男(きょうおとこ)から「大英断」のもと海の男へ

京都市上京区に生まれ育ちましたが、縁あって柴山支所所属船「光春丸」(こうしゅんまる 105トン)の船長をしている山本宏幸さん(40)。前船長の娘さんと約20年前に知り合い、結婚。それを機に柴山へ。最初は慣れない土地でいろいろと気苦労もありましたが、今は根っからの但馬人間と自負していますとのこと。柴山に移ってから間もなく、奥さんの実家の船に乗ることを決意。こういうのを「大英断」というんですねと静かに笑う。そんな笑顔の山本さんも乗り始めた頃は、不慣れな船上での作業に四苦八苦、出港から帰港まで約一週間(漁期、漁場によっては短い場合もある)がとても長く感じられたそうです。しかし不思議と船酔いはなかったかなと振り返る。機関長という職務を経て、二年前に義理の父親でもある前船長からバトンを受け、四代目船長に就いた山本さんに話を訊いた。

操舵室にて
山本宏幸船長
柴山港に停泊中の光春丸
柴山港に停泊中の光春丸

漁業を取り巻く環境は厳しく・・・

山本さんが今、いちばん気にかかるのは漁業を取り巻く環境が非常に厳しいということです。長年苦しめられている燃油の高騰問題、資源の問題、後継者不足。中でも最近よく耳にするのは「魚離れ」という言葉です。国民ひとり当たりの魚介類消費量は2001年をピークとして年々減少し、現在はピーク時の七割程度に落ち込んでいると訊きました。私たちが波涛の中、苦労して獲ってきた魚が家庭の食卓を飾る回数が減ってきているという現実は大変憂慮すべき事だと思います。魚の持つ栄養素はからだに良いですし、特に育ち盛りの子どもたちにもっともっと食べていただきたいと願うばかりです。先ほどの統計の裏付けとして、数年前には肉食が魚食を上回り、またパン食がごはん食を凌駕したとも聞き及びました。個人的な考えとしてと断り、さらに熱く語ります_ _ _。

帰港後、次の漁に向けて前船長(右端)と相談
帰港後、次の漁に向けて前船長(右端)と相談

魚介類の特長を微力ながらPRしたい

日本人は現在、平均寿命世界一(女性)を誇っていますが、それは今のおじいさん、おばあさんたちのさらに上の世代が若い頃、まだ日本全体が貧しかった頃に魚介類や農産物を食べ、からだの基礎を作り上げたのが長生きに繋がっていると思います。このまま「食の欧米化」が進んでいくと、遠くない将来、世界一の座から転げ落ちることと邪推します。魚を食べすぎて不健康になってしまったと聞いたことはありませんものね。漁青連の活動や私のカミさんたちの漁協女性部による魚食普及活動においても一生懸命PRしていますが、限界を感じる時があります。そういう意味では、我が香美町で一昨年に制定された「魚食の普及の促進に関する条例」、通称「香美町とと条例」のもと、水産関係者等で発足した「香美町とと活隊」には頑張っていただきたいと思っています。微力ながら協力は惜しみませんよ(笑)。

これから出港です
これから出港です
行ってらっしゃい。気をつけて!
行ってらっしゃい。気をつけて!

海の男は家庭では優しき父

柔和な笑顔で語っていた山本さん。しかし、一旦沖に出ると自船乗組員の安全に厳しい目を向ける。少しでも油断すると命の危険にさらされることから時には厳しい言葉で船員を叱ることもあるといいます。「いくら良い漁をしても怪我、ましてや命を落としてしまったら何の意味もないですもんね」と言う山本さんの目は優しい。それもそのはず、荒海から帰ると高校三年生の長女を筆頭に三人の娘さんの父親であり、二匹の犬たちの良き主人でもあります。「長女は高校を卒業したら都会に出ていってしまうみたいで、それを思うと今から心配、そして寂しいですね」と微笑む。「でも、私がこういう職業柄、家に居る日が少ないため家を守って、そして三人の子どもたちを育ててくれているカミさんにはとても感謝しているんですよ」とはにかむ。

二匹の犬と戯れる山本さん
二匹の犬と戯れる山本さん
ホタルイカ漁を終え、柴山港入港間近の光春丸
ホタルイカ漁を終え、柴山港入港間近の光春丸

これからの但馬をもっと元気にしたい

但馬の港は松葉ガニや紅ズワイガニで名を馳せていますが、その他にも四季折々で美味しい魚がたくさん水揚げされ、上屋に所狭しと並んでいます。私たち漁業者や加工業者、観光業者ががっちりスクラムを組んで但馬をもっともっと元気にしていきたいですね。

柴山港の象徴、神の浦山(右奥)とツーショット
柴山港の象徴、神の浦山(右奥)とツーショット
ウエーキが美しいです!!
ウエーキが美しいです!!