WEBマガジン 漁師に会いたい Vol.2 盛山丸 次期船長 山中満晴さん

Vol. 22016.04.04 UP

盛山丸 次期船長山中 満晴さん

1979年、香美町香住区生まれ。18歳で漁師になり、柴山での14年間の修行を経て、実家の船「盛山丸」の船員に。近い将来、父の跡を継いで船長になる予定。5人の子をもつお父さん。


「冬は時化で操業が大変だ。漁師魂で獲ってきた松葉がに、もう食べたか。」

Vol.2 盛山丸 次期船長 山中満晴さん

大の魚好き
選んだのは漁師の道

 一番好きな食べ物を聞くと、迷わず「魚」という答え。
 「マガレイは唐揚げもいいけどやっぱり刺身が最高。ハタハタは鉄板焼きで食べるのが好き」と、ニコニコ顔で話す山中さん。代々漁師の家系に育った生粋の漁師…と思いきや、実は高校時代はまったく別の就職先を考えていたんだとか。すでに内定ももらっていましたが、直前になって思い直し、漁師になることを選んだそう。
 「やっぱりそれが自然かなぁと。今思えばそう決まっていたんじゃないかという気がします」と、当時を振り返ります。

山中さん

漁師は連携プレー

 高校卒業後、すぐに父の船には乗らず、経験を積みに14年間柴山へ。あえて選んだ修行の場でどんなことを学んだのでしょうか。
 「漁師は気性が荒いと思っている人が多いかもしれないけど、それは表向き。実は優しい人が多いんです」と、山中さん。最初は大声で荒々しいと感じた先輩漁師たちの口調も、慣れると面倒見の良い人柄を感じたそうです。
 「海に出ると命を落とすこともあり得ます。だからこそ厳しい口調も必要というのが分かりました」。漁では船同士で情報を交換したり、連携することが何より大切と言います。
 港で見かける和気あいあいとした漁師さんたちの姿、スピーディーなあうんの呼吸…そんな光景が絆の強さを物語っています。

漁の様子

漁に出ている仲間に誕生祝いのメッセージ画像。

胸が高鳴る瞬間

 春はハタハタやカレイ、エビ類など、冬は松葉がに漁がメイン。底曳網を仕掛け、引き揚げる繰り返しの肉体労働です。
 「カニの網を引き揚げる時は、毎回ドキドキ。網いっぱいにかかっていた時はめちゃくちゃ気持ちが上がります」と、山中さん。他のどんな魚と比べても、松葉がにの大漁は格別の喜びがあります。
 「昔と比べると魚の値段は下がっていますが、松葉がにだけはブランド力が上がって値段が落ちていません」。
 そう、但馬の漁師にとって、松葉がには高収入につながる一番のチャンス。11月〜3月の漁期は出来る限り漁に出て過酷な日々が続く反面、見返りも大きいんです。
 「漁師をやってて一番の楽しみ。あとはまあ、とれたての魚を食べられるっていうのもいいところかな」と、笑います。

胸が高鳴る水揚げ

1000枚に1枚といわれる「香住プレミアムタグ」が付いた松葉がには、さらに高値で取り引きされる。

次期船長として

 「おじいさんの頃の話を聞くと、漁師にとっていい時代だったなぁと思います。その頃くらいに思えるように努力したい」と、山中さん。それには、カニ以外の魚の価値を上げることが課題。地元のイベントやPR活動などを通して、「もっといろんな魚の美味しさを知ってもらいたい」と話します。
 盛山丸の次期船長。今後も連携プレーを生かして、次代の新たな突破口を開いてほしいです。
 盛山丸

山中さん